東京都知事選から中学公民を学ぶ
2016年7月に行われた東京都知事選を題材に中学公民で勉強する地方自治の仕組みについて解説したいと思います。ニュースでもかなりの時間、取り上げられてましたよね。
都知事選は東京都だけでなく全国的にも注目度が高い選挙でした。
「都議会を解散する!」と当選した小池知事は立候補時に宣言していましたが、そんなことが可能なんでしょうか?知事と議会の関係など整理しておきましょう。
地方自治は民主主義の学校ってどんな意味?
公民の教科書で出てくる定番のフレーズに「地方自治は民主主義の学校」というのがあります。
う〜ん、いまいちピンとこないですよね。
じゃあ、先生は誰なの?生徒は?給食はあるの?なんて。
意味は「身近な問題から政治のことを学ぶことができるのが地方自治」といったところ。もともとは昔のイギリスの政治家の言葉です。
国政だとどうしても問題が大きすぎて身近に感じられない。なので、身近な問題を扱っている地方自治で民主主義を学ぼうといったものです。
となると、「憲法改正反対」を訴えて都知事選に立候補するのは違和感がありますよね。
それは国政の問題だろ。だったら国会議員になれよと。
それが知事選のあの結果だったのかもしれません。
知事と議会の関係
今度は小池候補が立候補時に宣言した「都議会を解散する!」が可能なのか調べてみたいと思います。都道府県知事と都道府県議会は次のような関係になっています。
都道府県知事、都道府県議会としましたが市町村でも同じなので、都道府県知事・市町村長を首長、都道府県議会・市町村議会を議会として説明します。
首長が議会に対してできること
- 再議要求 … 議会が議決した条例や予算に対し、再議を求める。再議を求められた議会は、出席議員の3分の2以上でないと再可決できない。
- 専決処分 … 議会を招集する時間がない場合などは首長が決定することができる。議会は事後承諾を行う。
議会が首長に対してできること
- 不信任決議 … 不信任決議というのは首長を辞めさせるということ。不信任決議が議会で可決された場合は、首長は辞職するか議会を解散しなければなりません。
こうしてみると首長から議会をいきなり解散させることはできません。あくまで議会が首長の不信任決議を可決したときに、対抗手段として議会を解散させることができるというわけです。
なので、小池都知事が宣言していた「都議会を解散する!」は、(もし都議会が私の不信任決議を可決したなら)都議会を解散する!ということだったのかもしれません。
いずれにしてもインパクトがありましたよね。「自民党をぶっ潰す!」と言った小泉元首相のフレーズを意識していたのかもしれません。
首長と議会の関係は公民の地方自治の中では重要なトピックです。
このことを参考に覚えておきましょう。