もんじゅの廃炉を検討から中学公民を学ぶ
高速増殖炉「もんじゅ」について廃炉も含めた抜本的な見直しを行うと政府が発表しました(2016年9月21日)。もんじゅというのは新しいタイプの原子力発電所です。
研究開発段階での事故により現在は運転停止中。すでに1兆円以上のコストがかかっており、再稼働するにもさらに5000億円以上が必要なことが問題視されていました。
そこで廃炉の方向で検討することになりました。
この「もんじゅ」の問題は中学公民ではエネルギー問題と関連しています。
日本はエネルギー資源に乏しいため、原子力の活用が図られてきました。
ところが、福島第一原発での事故により大きな見直しが迫られています。
原発問題となると感情的でセンセーショナルに取り上げられることもあるのですが、冷静に論点を把握しておきましょう。
日本のエネルギー自給率は6%
エネルギー問題については経済産業省がホームページで論点を公表しています。
(「日本のエネルギーのいま」)
経済産業省の視点という条件は付きますが、わかりやすいのでこれを参考にしたいと思います。
(以下の数値の出典は経済産業省ホームページ「日本のエネルギーのいま」にです。)
自国で使用するエネルギーをどのぐらい自国の資源で得られているかがエネルギー自給率です。日本のエネルギー自給率は6%。主要国と比較してかなり低い数字です。
日本と状況が似ている韓国でも自給率は18%です。
日本がいかに低いかわかりますよね。
日本がこんなに低くなったのは最近のことです。
2010年時点では19.9%、それが2012年に6.0%というわけです。
この間に何があったか?
わかりますよね。
東日本大震災による福島第一原発の事故です。これにより原子力発電の割合が一気に低下。火力発電が増えたことでエネルギー自給率が下がりました。
火力発電に必要な燃料(石油、天然ガス)のほとんどを日本は輸入に頼っているからです。
火力発電が増えることの問題点は主に2つ。
- 温室効果ガスが増える
- 化石燃料の輸入が増え貿易赤字が増大
こうしたこともあって火力発電に替わるものとして原子力発電に期待が寄せられてるというわけです。
もちろん、火力発電の替わりは原子力発電だけではありません。太陽光発電、地熱発電、風力発電などの新エネルギーもありますが、日本のエネルギー需要をまかなえるほどではありません。
原子力発電の事故は地域の人々の暮らしを変えてしまうほどのものになります。地域の人々だけでなく、日本の広範囲に影響が及ぶこともあります。
安全第一。
それは言うまでもありませんが、その中でどのようにエネルギーをまかなっていくか。
「省エネルギー社会を目指す」というのもひとつの考え方です。
ただ、猛暑の中でクーラーを使えないとなると命にも関わりますよね。
まだまだこれからの問題です。
答えを探していくのも勉強です。