「ゴルスタ」終了から中学公民を学ぶ
中高生限定アプリの「ゴルスタ」がサービスを終了することとなりました。運営側が利用者の個人情報を流出させたことが原因。
利用者に対して高圧的な運営を行っていたことも批判を浴びていました。一企業の問題ですが、中学公民的には個人情報の扱いや企業の責任について学ぶ良い機会です。
ポイントをまとめてみました。
プライバシー権を保障する個人情報保護法
日本国憲法の中では自由権、社会権、平等権など様々な権利が保障されていますが、憲法が制定されたときには想定されていなかった新しい人権も出てきました。
その中のひとつがプライバシー権。
個人の情報について他人に知られないようにする権利です。
これを規定しているのが個人情報保護法です。
「ゴルスタ」は、この個人情報保護法に違反したとして問題になったわけです。
新しい人権
新しい人権はプライバシー権だけではありません。
- 環境権 … 快適な自然環境や生活環境で暮らすことのできる権利
- 知る権利 … 国や地方公共団体が持っている情報を知る権利
こうしたものも新しい人権として認められるようになり、知る権利に対しては情報公開法(1999年)が制定されました。
新しい人権は憲法には規定されていませんが、次の2つの条文などに基づくとされています。
- 憲法第13条 … 幸福追求権
- 憲法第25条 … 生存権
また、憲法改正で新しい人権を規定しようという動きもあります。憲法改正では第9条の改正だけが問題になっているのではないことも知っておきましょう。
コンプライアンスとは
企業に対してはコンプライアンスが求められるようになって来ていることもポイントです。
コンプライアンスとは法令遵守のこと。
「法律を守る」なんてあたり前のことのように思えますよね。
ただ、「法律を守る」ことをおざなりにしていた面もありました。
- 業界のルールで認められているから
- 法律のほうが古くて意味がなくなってるから
- 法律を守ることで余計な手間がかかり、最終的にお客さんに迷惑をかけるから
と、自分たちだけの理屈をつくり、法令を無視している企業活動が少なからずありました。
ゴルスタも個人情報を公開することが自分たち理屈(正しい運営?)には合致していると考えていたようでもあります。法令を軽視していたのかもしれません。
コンプライアンス(法令遵守)が求められるようになってきたのは、こうした背景もあります。教科書の中の問題だけではなく、身近な問題として覚えておきましょう。
中学公民のポイント
- 新しい人権には、プライバシー権、環境権、知る権利などがある
- 新しい人権は憲法の幸福追求権(13条)、生存権(25条)に基づく
- 企業に対してコンプライアンス(法令遵守)が求められるようになっている