アメリカ大統領選から中学公民を学ぶ
アメリカ大統領選挙が行われるのはオリンピックと同じ4年に一度。
オリンピックが開催される年に大統領選挙も行われます。
リオ五輪のあった2016年に大統領に選ばれたのはトランプ氏でした。
事前の予想で民主党のクリントン氏が有利と言われる中での逆転勝利。
選挙期間中の過激な発言などもあり今後の世界情勢に大きな影響もありそうです。
今回はこのアメリカ大統領選について中学公民のポイントを整理します。
アメリカ大統領選挙は「選挙の原則」に反している
アメリカの大統領選挙は、候補者に投票するのではありません。
有権者は選挙人と呼ばれる人に投票し、その選挙人が大統領候補に投票することになります。これは間接選挙と呼ばれる方式ですが、公民で習う「選挙の原則」には反しています。
公民で習う選挙の原則は4つ。
- 普通選挙
- 平等選挙
- 秘密選挙
- 直接選挙
この中にある直接選挙というのは、有権者が候補者を直接選ぶというものです。
アメリカの大統領選は、この直接選挙にはなっていません。
では、アメリカ大統領選は選挙として認められないのかというとそんなことはありません。
「選挙の原則」なので、「原則」には「例外」があるというわけです。
試験では「例外」のほうが問われることが多いので覚えておきましょう。
総投票数では2位のトランプ氏が大統領になった理由
今回のアメリカ大統領選ではクリントン氏への投票のほうがトランプ氏への投票よりも多かったということもニュースになりました。こうした事態はアメリカ大統領選ではこれまでも何回か起きています。
選挙人総取り方式を導入している州があることの影響です。
州ごとの選挙人総取りとは次のようなものです。
- 州ごとに選挙人が割り当てられる
- その州で獲得票数が多かった候補が割り当てられた選挙人を総取りする
具体例で見てみます。
州 | 割当選挙人数 | A候補獲得票数 | B候補獲得票数 |
---|---|---|---|
ア州 | 10人 | 1000票 | 900票 |
イ州 | 5人 | 100票 | 500票 |
ウ州 | 4人 | 100票 | 500票 |
このような結果の場合、獲得票数を比べると、
- A候補 …1000+100+100=1200票
- B候補 … 900+500+500=1900票
と、B候補が700票多くなります。
ところが、獲得選挙人数は、
- A候補 …10人(ア州)
- B候補 … 9人(イ州5人+ウ州4人)
と、A候補のほうが多くなってしまうというわけです。
総投票数では少なかったほうの候補が当選してしまう状況は今回の選挙を含めて5回起きており、選挙制度を見直すべきとの意見もあります。